長崎県貿易協会上海代表処
有限会社 雅グループ

 

??????そもそも、私は昭和44年の長崎国体時の100m背泳のチャンピオンでした。その成果により当時、水泳チームとして日本のNo1であった日本大学に特待生で勧誘されました。大学時代は競泳選手としての活動のかたわら、水泳コーチの知識を数多く学び、この知識を故郷である長崎県の水泳界に寄与することを考えていました。勿論ボランティアで!!その目的を達するために、故郷である佐世保市役所に入り、就業の傍ら子供たちの育成〈主に水泳〉に心身を注いでいましたが、当時の世の中の流れとして、国際化が叫ばれるようになり、私は、将来の郷土の国際化には、青少年の国際化が急務と考え、青少年の国際交流(主に米国、中国)にも力を入れるようになりました。
??????私は、25年間佐世保市役所に勤務していましたが、公務遂行における理想と実態に大きな矛盾を感じるとともに、本来の自分が持っている、新しいことに対する企画力を生かせる環境がなく、このままの職場で終わってしまう自分が勿体ないと考えていました。そこで、思い切って49歳、係長職の時に退職しました。
??????私の戦前の実家は、大連で佐世保市程の敷地を持つリンゴ園を営む名家であったことから、幼い頃からよく中国の魅力を聞かされ、中国に対する興味は非常に大きいものがありました。
??????昭和58年に佐世保市と厦門市が友好都市を締結したのをきっかけに、何ら行政機関の援助もない中、佐世保市で最初に中国との青少年交流民間ボランティア団体をつくり、青少年の交流を幾度と手がけてきたことで、厦門市民にも多くの知り合いができるよ うになりました。
??????この間、厦門市から私個人に対し、頻繁に友好都市間の経済交流の要請があっていました。1998年春、厦門市外事弁公室の友人を通じ、「現在ある、マンダリンホテルの日本料理店が、日本人の経営者を探しているので、もし可能なら、島田さんの協力がほしい」との、マンダリンホテル副社長からの要請があったことで、厦門進出を決定しました。
??????「公務員が一般企業で使い物にならない」と言う、世間で言う言葉を実感させられた毎日でした。まず、頭を下げることが下手である。利益の計算が苦手である。企画力の乏しさ等々。公務員時代はそこそここなしていたと思っていたことがまったく通じませんでした。またマンダリンホテルは、厦門市でただ一つの五星級ホテルですが、とてもそうとは思えないノウハウの低さ、国営企業の体質を引きずった職員の間違ったプライドの高さ、やる気のなさ。金銭感覚のずさんさ。契約事項を守らない等々。とても日本の経営方法が通じる世界ではありませんでした。
??????その後、現在開業中の京?中心酒店(四星級ホテル)は、完全な民間経営ホテルで、以前とは比較できないくらい、当店の営業はスムーズに行っています。マンダリンホテル時代の顧客様は勿論、日本の大企業(例えばJAL、パナソニック等々)から個人企業様まで厦門在住の約9割の日本人が御来店されます。また日本人顧客が多いことが評判になり、その雰囲気を求めて厦門の人々は勿論のこと、香港、台湾、ヨーロッパ人等のご来店も急速に延びています。一方、在来の関西空港~厦門間空路に加え、今年6月からは成田空港~厦門間の増設がなされ、邦人の急激な増加に伴い営業も順調に延びています。
??????現在、日本人職員二名、中国人職員一六名で運営しています。3年前マンダリンホテルではじめた時は、日本人職員一名、中国人職員五名でした。マンダリンホテルでの苦い思いがあり、現在の職員は厨房を除いて全員素人を私自ら労働局に長期間足を運び、元事務職系統の小姐をスカウトし、日本流の笑顔、立ち振るい、サービスを徹底教育しました。結果、アンケート調査では、ご来店のお客様の100%にホール員の態度を誉めていただいております。
??????また、厦門は台湾との交流が非常に盛んなことから、市内に点在する15軒の日本料理店のほとんどが、台湾日本料理であり、当然その環境で育った調理人も、台湾日本料理の味しかしりませんでした。マンダリンホテルに私が開店する前までは、厦門人全員が、ハウスの「チュウブ入りわさび」を本物のわさびと思っていたくらいですから(笑)。もともと、私は割烹料理が好きでしたので、公務員時代は酒を飲みに行っては、そこの板前から料理のコツを教わって、一人勉強していました。
??????まずは、調理人には、包丁砥から教える始末でした。しかし、中国人は感が好いのでコツの飲み込みは早く、現在は300種の料理をしかも日本の味で提供することができ、厦門では1番の日本料理店との評価をいただいております。
??????ただ一つ残念なことは、 マンダリンホテルに出店当初から信頼を置いていた、日本人調理長の営業資金不正流用を見つけたことです。将来の当社の中国全土での展開の夢を半分託していた人物だっただけにショックも大変でした。
??????結果的にはこの後の処理が、中国人職員に対し大いに仕事意欲を持たせるとになりました。後任に副料理長であった中国人を抜擢したことで、「人種差別をしない経営者」と言う、思いもよらない中国職員からの評価がでてきました。以来、職員間に真剣に頑張れば、中国人日本人に関係なく昇格が可能という希望が生まれ、職員の動きが目に見えて良くなったことを感じました。
??????過去にビジネスの世界においてアメリカンドリームと言う言葉がありましたが、現在の中国には同じような物がまだ転がっています。勿論、億円単位のビジネスチャンスは十年、二十年前に総合商社と言うモンスターが、底引きあみでほとんど吸い上げて行ってしまいましたが、未だ、千万円単位のビジネスチャンスは残っています。
??????中国でのビジネスの面白さは、ビジネスが一種に留まらず、人脈の広がりとともに ビジネス業種も拡大するところに在ります。また、中国において人脈の拡大は、世間に信用ができれば容易なことです。中国とのビジネスをはじめるに当たっては、次の事項を絶対に忘れてはならないでしょう。①通訳は、オールマイティーに日本人の意図を相手に伝えることはほとんど不可能。②通訳はとても怖い武器(彼の感情の持ち方一つで、他国の邦人を抹殺することも可能)。
??????私の父母は日本人ですが、どちらも中国大陸生まれの、中国育ちです。両親とも終戦まで日本の本土情景を知りませんでしたし、現地の日本人居留区にも住んでいませんでした。私は日本で生まれましたが、そのような両親から育てられた私は、幼い頃から、物事への発想、判断が級友と違っていました。例えば、決断が早い。喜怒哀楽が素直に顔に出る。好き嫌いがハッキリしている等々。例をあげると数えきれません。この現象は、何故なのか自分でもその理由がわかりませんでした。しかし、中国へ初渡航して初めて、自分の思考判断能力は、半分は中国の文化(ものの考え方)であることが、中国の町中を歩いていて悟りました。以来、青少年の交流も含め、全ての交渉は地でやっていますので、彼らと喧喧諤諤の協議をしても余り疲れません。
??????中国人はTVや新聞よりも、人伝てによる話の方を信用します。また、彼らは日本では大会社の社長であっても、中国での実績がないと信用しません。ビジネスの中で、日本の先進的経済志向を発揮するのは、事業が軌道に乗り出してからでないと決死てうまく行きません。その理由は、彼らはたとえ貴方が金持ちの社長であろうと、はなっから日本人を信用していないからです。ですからずいぶん先を行っている日本人の思考の値打ちがわかっていないのだと思います。判ろうにもその判断となる基礎が未だ今の中国にはありません。この二つをクリアーするには、多くの時間が必要です。
??????過去度重なる事業失敗を繰り返しても、現在の事業が成功しているなら、彼らは喜んで仲間に迎えいれます。また、中国人の特性として、彼らは「強い者には従順で、弱い者には極めて傲慢である」ことを常に頭の片隅に入れておかねばならないと思います。
??????これは企業だけでなく、一個人としても同じことが言えるのですが、日本の定規では彼らの文化は測ることができません。また、逆に彼らの定規では我々日本人を測ることができません。早く相手の「文化定規」を使いこなせることが商売の分岐点になることでしょう。また、彼らは平気で賄賂を要求してきます。この要求に従わないとその企業の存亡にかかわるような嫌がらせをすることが多々あります。しかし、ここで要求に屈してしまうと何時までも要求し最期にはそれを当然化してしまいます。
??????どんな時でも、日本人としてのプライド、頭の良さ、勇気を持って彼らの要求を呑まないことが肝心です。
??????現在、有限会社 雅グループの代表取締役をやっている妻は、以前は病院の臨床検査士でした。当社の日本でのビジネスの中核となっているこの 「雅鷺健美茶」は、彼女が臨床検査の能力を駆使し、独自の健康美容茶として開発したものです。
??????このお茶の原材料は中国茶であり、以前は厦門から輸入をしていましたが、現在は上海から直輸入しています。現在、日本全国で35店舗の販売代理店ができています。
??????年の内、10回ほど中国と日本を往復しています。住居は、当店の男性職員全員とともに大きなマンションをレンタルし住んでいます。彼らが生活に必要なこと全てを、率先してやってくれるので(カバン持ちまで)何不自由ない快適な生活を送っています。
??????言葉ができないことは余り苦になりませんでした。「言葉は、学問ではなく意思を伝える手段の一つ」にしか過ぎないことを実感しています。私を初め職員全員ビールが好きなので、空瓶の後始末を怠ると一週間で台所が空瓶で埋まってしまうことがよくあります、このことが生活の中で一番の苦と感じていられることは、幸せな生活を送っているのだと実感しています。また、年間何回も日本と中国を往復していると、外国へ行った感動、帰国時の感動がほとんどなくなってしまいます。寂しい限りです。
??????「雅」の今後の展開についてですが、当店のモットーは、中国での日本人のオアシスになることです。この目標を達成するために次ぎの3つの社訓を職員全体に徹底しています。第一番目 何処よりも楽しく、第二番目 何処よりも美味しく、第三番目 中国で一番安く。
??????現在、厦門市内で三箇所の四星級ホテルから、当店の出店依頼がきております。条件が合えば三箇所とも出店を考えていますし、今後の企業戦略展開として、中国内部都市への店舗拡大を具体化させていこうと考えています。最終的には中国全土で100店舗ほどの系列店舗を持ちたいと考えています。
??????私自信の今後の展開については、現在は、私イクオール雅と考えています。しかし将来成功し大金を手にするようになったなら、若いとき自分が果たせなかったスポーツの夢を、財団創立いう形で再度追いかけてみたいと考えています。また、青少年の国際交流にもスポンサーとなって積極的に乗り出したいとも考えています。

??????飲食店に留まらず、邦人が中国進出に先だって連想することは、「日本の進んだ物を引っさげて営業するなら、成功は間違いないだろう」等のことでしょう。多かれ少なかれ似たような思考を抱き、明るい将来を夢見て船出となるのですが、これは日本人の独り善がりと言うものだと思います。
??????中国人は確かに日本の先進技術に憧れ、経済力に魅了されてはいますが、それをそのまま受け入れようとはしていません。彼らの狙いとするところは、日本の文化その物を全て飲み込み、腹の中で先進的物であろうとなかろうと、必要な物は栄養源として体の一部にし、不必要な物は残らず排泄する。その排泄された物の中には、再度日本で使用可能な物はなにも残っていない、と言うことを肝に銘じておくべきだと思います。
??????また、現地滞在が長い邦人によくあることですが、何時の間にか日本人を捨て中国人になってしまっている人がよくいます。自分では気づいていないのですが、久しぶりに会うとよく相手の変貌が見えてきます。マナーを守らない。交通規則を守らない等々。
??????中国という国で日本人が生きていくためには、自分の半分では中国を受け入れ、残りの半分は日本人としてに毅然とした思考を維持することです。そして、この両者を融和させるのではなく、ケースバイケースで上手に使い分けていくことが、中国人に対しても、日本人としての魅力をアピールすることに繋がります。日本人としての魅力のない邦人は、中国人からもう疎んじまれますよ。

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